生きることは共創 ~ウイルスへの感染と社会を考える~

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ウイルスってこわいですね。でも役にもたってるって?

Kaninも哺乳類だからこの話はちょっと関係してますね。

コロナウイルスが世界的に猛威をふるっている昨今、「ウイルス」と聞くだけで嫌な気分になってしまう方もいるかもしれませんが、「ウイルス」と「共創」は人類にとって関わりの深い話題ですので今日はウイルスに関わる話を少し書かせていただきます

多くのウイルスはいったん体の中に入ると感染症としての症状はでていなくても実はずっと潜んでいるということがあります。

たとえば「帯状疱疹」という病気の原因になるウイルスは「水痘・帯状疱疹ウイルス」というウイルスによって起こります。このウイルスは名前のとおり、「みずぼうそう(水痘)」の原因になるものと同じです。ある年代以上の人はほとんど子供のころ「みずぼうそう」に罹っていますね。いったん水痘に罹るとそのウイルスはずっと体の中に潜んでおり、免疫が落ちたときなどに神経に沿った範囲で増殖し帯状の発疹と神経の障害をおこす、それが帯状疱疹です。私はなったことありませんがとっても痛いそうですね。

このほかにも体に潜んでいるウイルスはたくさんあり、肝炎のウイルスが再活性化して劇症肝炎をおこしたり、ヒトパピローマウイルスが子宮頸がんの原因となったり、様々な形で人々を苦しめています。ウイルスは厄介ですね。

ただ、ウイルスの感染は実は悪いことばかりではありません。例えば哺乳類に胎盤があるのはPEG10という遺伝子があるからといわれていますが、このPEG10という遺伝子はウイルスに由来しているそうなのです 1)。私たちの祖先がまだねずみみたいな生き物だったころに感染したウイルスによって胎盤をつくるという機能が獲得された。まさにウイルスとの共創です。

私たちが共創しているのはウイルスだけではありません、私たちが生きるために必要なエネルギーを作るミトコンドリア。誰の細胞内にも必ず存在するこの小器官は実は太古の昔に私たちの祖先が取り込んだ別の生命体だと考えられています 2)。

私たちの体は実にいろいろな生命体との共創によって現在の状態になっているのです。まだまだ知られていないものもあるでしょうから、きっとものすごい数の共創ですね。

社会も同じではないでしょうか。人と人、モノ、自然が関わり社会が成り立っている。

社会に大きなインパクトを与える人やできごと、社会が大きく変わり誰もが知ることになります。ある人によっては良いことかもしれないし、ある人にとっては悪いことかもしれない。ただその結果によって次の世代の社会が営まれていく。それだけです。

一方で社会に大きくは知られないこと。

私が以前に担当させていただいていた患者さんに「お隣の病院を作った」という方がいらっしゃいました。それはその病院の院長も、そこに勤める人も、その病院に入院する人も、きっと知りません。
残念ながらその方は病気によってもう病院を作ることはできない体になってしまいました。

ただ、私はその病院を見るたびに、〇〇さんはここの部分を作ったのだろうか、それともこちらの部分を作ったのだろうか、と思いながら眺めていました。

「〇〇さんが作った病院には今日も多くの人が働き、多くの人が診療を受け、世の中を支えている」
それは〇〇さんの健康な体を守れなかった、私自身への慰めでもありました。

今日も人知れず誰かが誰かを支えて社会は動いている。
これを読んでくれた人がいる、誰かに何かの影響をしたかもしれない。それだけでも私には支えです。

1) https://globe.asahi.com/article/13707574

2) https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/seibutsukiso/archive/resume007.html

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